『光秀、修羅の饗宴 本願寺戦争異聞』は、戦国時代の複雑な権力闘争を背景に、明智光秀と本願寺勢力の戦いを描いた歴史小説です。戦略や人間心理の駆け引きが緻密に描かれ、合戦の迫力や時代の息遣いを感じられます。特に「権力と信念の板挟みに立たされる人間の苦悩」が印象的で、歴史上の英雄たちの生き様を深く味わえる内容でした。歴史好きや戦国時代の物語に興味がある読者におすすめです。
「真の裏切り者」は誰だったのかーー。
本願寺はなぜ巨大な世俗権力との正面衝突に踏み切ったのか?
信長、秀吉、善住坊、そして光秀は何を望んでいたのか?
苛烈をきわめた宗教戦争の背後で交錯する異形の者たちの思惑と、
歴史に汚名を刻まれた智将の決断の裏に光をあてる傑作小説!
【本書より引用】
《「信長を殺めても解決にはならない」善住坊が静かな口調でいった。
「第二、第三の信長があらわれ、天下統一の前に立ちはだかる本願寺を攻めるだろう。そうさせないためには本願寺が決起し、織田氏を滅ぼすことで大名たちに力を見せつけておく必要がある」》
《信長が黙った。口元が怒りでわなないている。説得は無理か、と秀吉が観念しかけたときだった。「好きにせえ」吐き捨てると部屋からでていった。
秀吉は安堵する。自分が注進して光秀を蹴落としたーーそうみられるのは得策ではない。ふたりが重臣として覇を競っていることは周知のこと。失脚させるときは光秀を唾棄される存在に仕立てるのだ。ここはあわてず策を練るべしーーそれが秀吉の考えであった》
《明けて六月二日早暁ーー。
朝靄を切り裂くように鷺森本願寺の半鐘が乱打された。
「ご門主!」侍僧が顕如の居室に駆けこんで叫んだ。「織田軍の来襲でございます!」
顕如が布団を蹴ってとびおきた。雑賀鉄炮衆と激しい銃撃戦がはじまった。本願寺を明けわたしたではないか。なぜ信長が鷺森まで攻めてくるのだ。
本山が抹殺されるーー。ことの重大さにふるえながら、信長に信をおいた自分を呪った。
しばらくして銃声がやんだ。織田軍が引きあげていったという。》
第1章 遺文
第2章 宿願
第3章 岐路
第4章 標的
第5章 処断
第6章 犠牲
第7章 攻防
第8章 叛旗
すべて見る
新着の本
黄小娥の易入門
すべて見る
30日間で人気のまとめ記事





すべて見る
小説のまとめ記事





すべて見る
おすすめのまとめ記事





すべて見る
漫画のまとめ記事





すべて見る
趣味のまとめ記事




