広告代理店でバリバリ働く、いわゆる「デキる女」の涼子。夫・孝之の夢を叶えるため、郊外に店舗付きのマイホームを建てたものの、その代償は往復3時間の過酷な通勤でした。
平日は妻が多忙、土日は夫が仕事。家のローンのためだけに繋がっているような冷え切った関係。そんな中、孝之は趣味のサークルで出会った女性と不倫に走ります。涼子は早々にその事実に気づきながらも、決して表には出さず、淡々と日常を演じ続ける……。その静かな攻防に、ページをめくる手が止まりませんでした。
読みながら、正直「孝之はなんて馬鹿なんだ」と呆れもしましたが、一方で、すべてを察しながらも溝を深めていく道を選んだ涼子も、なかなか「馬鹿」だと言わざるを得ません。
一見、正反対の道を歩んでいるようで、実は二人とも「プライド」や「執着」から抜け出せない、鏡合わせのような似たもの同士だったのだと感じます。
分厚い一冊ですが、その重厚な心理描写に引き込まれ、あっという間に読み終えてしまいました。夫婦という関係の脆さと、人間の業の深さを突きつけられる物語です。




















