読み進めるにつれて、どんどん主人公・ニノの純粋な想いに惹き付けられていきます。
一緒に歌っていた大好きなモモが引っ越してしまい、モモに向けて、ニノはユズの作った歌を歌います。
届くと信じて、モモのことを思いながら歌うニノの姿……真っ直ぐすぎて胸が締め付けられました。
モモを失い、歌えなくなってしまったニノを救ったのは『ユズの曲を歌うこと』だなんてーーニノにとって、歌は切っても切り離せないものなのでしょう。
1つ1つの感情の描写が繊細で、表情や仕草から登場人物の心の動きが伝わってくる作品です。
また、歌は本来誰かに届けるために歌うものなのだと改めて実感できます。
その届けたいという想いが強いほど、歌の力は強くなるのだと思います。
ニノの歌声は現実で聞いてみたいですが……
きっと、どんな歌声でも納得できないような気もします。
読者の方それぞれが、
自分の中でニノの『モモに対する思い』を『歌声に変換』して読むことができる。
それこそが、この作品の魅力だと思います。
頭の中に音楽が流れるほど、この作品に、ニノの想いに惹き付けられます。
そして何よりも、高校生になってバンドを通して、これからどんな青春を送るのかとっても気になります!
これからのニノの歌声がどんな風に変わっていくのか。
モモへの思いは届くのか。
ユズとの関係はどうなるのか。
早く続きを読みたいと思う作品です。