『桐島、部活やめるってよ』は、桐島本人はほぼ登場しないのに、その“不在”だけで学校全体の空気が少しずつ軋んでいく構造がとても印象的でした。 
バレー部、野球部、映画部など立場の違う高校生たちの視点が重なり合うことで、スクールカーストや「自分はどの位置にいるのか」という息苦しさが、静かに立ち上がってくるように感じます。 
誰も決定的な悪人ではないのに、小さなプライドや劣等感が、関係性のバランスを少しずつ歪めていく描写がとてもリアルで、読んでいて何度も胸がざわつきました。 
「自分だったらどの登場人物に近いだろう」と考えずにはいられず、高校時代の記憶まで呼び起こされるような、苦くも鮮烈な青春小説だと感じました。
朝井リョウの『桐島、部活やめるってよ』は、高校生たちの日常と人間関係の微妙な揺れをリアルに描いた青春小説です。桐島の退部をきっかけに、それぞれの部活動やクラス内での立場、友情、恋愛、嫉妬といった感情が交錯し、個々の心理が丁寧に描かれています。誰もが経験する思春期特有の不安や葛藤が鮮明で、読後には登場人物たちの心情に共感しつつ、自分の高校生活を振り返る切なさと余韻が残る作品です。
学校生活のリアルな人間模様が鋭く描かれ、登場人物たちの複雑な感情や葛藤が丁寧に表現されています。誰もが経験する悩みや不安が共感を呼び、現代の若者の心情をリアルに映し出す作品でした。静かながら強いメッセージが胸に残ります。










