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宮部みゆき『泣き童子 ― 三島屋変調百物語参之続(1)』は、江戸時代を舞台にした時代怪談シリーズの第1巻にあたる作品です。三島屋に集う登場人物たちが語る百物語を通して、妖怪や怪異だけでなく、人間の心理や欲望、因果関係が丁寧に描かれています。「泣き童子」という怪異を軸に、江戸の風俗や生活文化も巧みに織り込まれており、怪談の恐怖と歴史的背景の両方を味わえる構成です。シリーズを通じて積み重ねられた伏線や人間ドラマの魅力も光る一冊です。