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「性格のない人間」である如月空子が、〈呼応〉と〈トレース〉で周囲に合わせて生き延びていく世界設定がとてもスリリングで、ピョコルンという存在が社会を変えていく過程もゾッとする面白さがあります。 
やがて人々が「恵まれた人」「クリーンな人」「かわいそうな人」に分類されるクリーン社会は、一見平和なのに、誰かの搾取の上に成り立っていることがじわじわと浮かび上がり、息苦しくも目が離せませんでした。 
性差別や格差、暴力など、現実の問題が奇妙な世界の形で反射していて、「これは本当にフィクションなのか」と何度も立ち止まらされます。読み終えたあと、自分が生きている“世界”の方がぐらぐら揺れ始めるような、強烈な読後感の一冊でした。














