この物語を読むにあたりテレビドラマ化されていた時に演じていた山下智久さんが、
まず最初に頭に浮かんできました。
拙い言葉でへらへらしながら話す姿が本当の知的障害者のようで。
そして話が進むにつれ人間の真髄が見えてきて、涙なしには見ることができなかったことを覚えています。
演技だけで知的障害者を再現するのも相当難しいのに、それを文字だけで表現するなんて不可能ではないかと初めは高を括っていました。
でも、本を開くとそこには知的障害者のチャーリイの世界が広がっていて。
本当に知的障害者の頭の中を覗き見たような感覚に陥りました。
いい意味で考えを覆され読む手が止まりません。
賢くなりたくて博士に手術をしてもらうことになった知的障害者の主人公・チャーリイ。
まずは手術を受けるための準備として心理学のテストを受けることに。しかし、チャーリイは1つの過去に囚われてしまい、想像力を巡らすことができずうまく答えられません。
また、成功した経験があまりないのか失敗することを過度に恐れています。
ドラマでは屈託のない純粋な青年という印象が強かったので、よりチャーリイの気持ちにより添えた気がして嬉しくなってきます。
そして、手術を受けた後のチャーリイは少しずつ変わっていきます。
物事の道理が段々わかるようになり自分の意見が(ネガティブな意見も)出てきたのです。
昔のチャーリイがいなくなってしまったようで残念でしたが、それは成長の証と自分に言い聞かせます。
その後もいろいろな角度から物事を見ることができるようになっていくチャーリイ。
でも知性のお陰で手にするものは、チャーリイが思い描いていたものではなく……
人を大切にする気持ちを思い出させてくれる1冊です。
あなたにも本とのいい出会いがありますように。