主人公は知的障害を持ち、治療をすることでIQを挙げることができた。しかし、天才だと思っていた教授以上に賢くなってしまったため人間の醜さや愚かさに気づいてしまう。 本を読み知識をつけても人間はどういうものなのか彼は理解ができなかった。 小説を読む理由は人間の複雑さを教えてくれるからだと思った。チャーリィも小説を読んでいたが、知識を得るためであり、難しい専門書や歴史書には教えてくれない人間の複雑な感情や人間社会を小説は教えてくれることに気が付かなかったんだと思った。
知的障害を持つ主人公チャーリーが手術によって急激に知能が向上する過程と、その後の葛藤を描いた感動作です。知性の獲得とともに失われていく純粋さや人間関係の変化が胸を打ちます。自己理解と孤独、そして人間らしさとは何かを深く考えさせられる、心に残る物語です。
この物語を読むにあたりテレビドラマ化されていた時に演じていた山下智久さんが、
まず最初に頭に浮かんできました。
拙い言葉でへらへらしながら話す姿が本当の知的障害者のようで。
そして話が進むにつれ人間の真髄が見えてきて、涙なしには見ることができなかったことを覚えています。
演技だけで知的障害者を再現するのも相当難しいのに、それを文字だけで表現するなんて不可能ではないかと初めは高を括っていました。
でも、本を開くとそこには知的障害者のチャーリイの世界が広がっていて。
本当に知的障害者の頭の中を覗き見たような感覚に陥りました。
いい意味で考えを覆され読む手が止まりません。
賢くなりたくて博士に手術をしてもらうことになった知的障害者の主人公・チャーリイ。
まずは手術を受けるための準備として心理学のテストを受けることに。しかし、チャーリイは1つの過去に囚われてしまい、想像力を巡らすことができずうまく答えられません。
また、成功した経験があまりないのか失敗することを過度に恐れています。
ドラマでは屈託のない純粋な青年という印象が強かったので、よりチャーリイの気持ちにより添えた気がして嬉しくなってきます。
そして、手術を受けた後のチャーリイは少しずつ変わっていきます。
物事の道理が段々わかるようになり自分の意見が(ネガティブな意見も)出てきたのです。
昔のチャーリイがいなくなってしまったようで残念でしたが、それは成長の証と自分に言い聞かせます。
その後もいろいろな角度から物事を見ることができるようになっていくチャーリイ。
でも知性のお陰で手にするものは、チャーリイが思い描いていたものではなく……
人を大切にする気持ちを思い出させてくれる1冊です。
あなたにも本とのいい出会いがありますように。
名作と呼ばれる本を読んでみました。
最初とても読みづらい文章をした本だなと思いましたが、
それも理由があり、どんどん引き込まれていきます。
知能がありすぎることに対する難しさと最後に行けば行くほど主人公に切なさを感じるなんとも言えない気持ちにさせる本です
この作品は、知的障害を抱えるチャーリィ・ゴードンが、実験によって天才レベルの知能を得るという、劇的な変化を経験する物語です。  その過程を彼自身の日記形式で追体験することで知性が増す喜びと同時に、周囲の人間関係の変化や自分の過去、そして人からの偏見や差別に気づいていく苦しさが、とてもリアルに伝わってきました。 
読んでいて、「知能」や「成功」が必ずしも“幸せ”を保証するわけではないのだと深く考えさせられました。知性が上がることで見えてくる世界の広さと同時に、失われる純粋さや孤独、本作は、その矛盾や人間の弱さを真正面から描いています。 
そして、最後に残る切なさと問い。「本当の幸せ」や「人としての尊厳」は何かを、読む人それぞれが自分自身に問いかけたくなる、そんな、重くも美しい作品だと感じました。
知的障害をもつ青年が手術で天才になり、やがてすべてを失っていく過程を〈経過報告〉の日記形式で追う一冊でした。拙い文字から高度な論理へ、そして再び崩れていく文体の変化が、そのまま彼の尊厳と孤独を可視化していて胸が締めつけられます。知性と幸福、人間らしさについて静かに問い続けてくる物語だと感じました。
この作品で印象的だったのは、チャーリイの変化が「経過報告」という日記形式で描かれていることだ。最初はつたない文章だったのが、次第に語彙が増え、論理的になっていく。そして、知能が再び低下していくにつれて、文章も元に戻っていく。その過程を読むことで、私はチャーリイの内面の変化をより深く感じることができた。
アルジャーノンというネズミの存在も、物語に大きな意味を持っている。彼も同じ手術を受け、チャーリイの先を行く存在だった。アルジャーノンの死は、チャーリイの未来を暗示するものであり、彼が「自分もいずれ…」と悟る場面は、静かでありながら強烈な衝撃を与えた。
読後、私は「人間らしさ」とは何かを考えた。知能が高くても、感情やつながりがなければ、人は孤独になる。チャーリイが知能を失っていく中で、再び人との温かいつながりを求める姿に、私は“人間の尊厳”を見た。
『アルジャーノンに花束を』は、知能や能力だけでは測れない、人間の本質を描いた作品だ。私もまた、誰かの“花束”になれるような存在でありたい。誰かの痛みに気づき、寄り添える人間でありたい。そう強く思った。
知的障害を持つ主人公のチャーリー・ゴードンは、ある手術を受け、天才へと変貌していきます。
しかし、ずっと賢くなりたいと願っていたのは、母親に認められたいという思いからだったのだと分かり、切なくなりました。父親はチャーリーを理解してくれていたのに、再会しても気づいてくれない。母親はすぐに気づいてくれたのに、結局は邪険にされてしまう。そんな姿を見ていると、チャーリーを本当に心から愛してくれる人はいたのだろうかと考えてしまいます。
物語の後半、段々と知能が戻っていく中で、チャーリーがアリスの呼び方が「キニアン先生」に戻りましたが、アルジャーノンのことだけは最後まで忘れませんでした。ずっと心から信頼し、愛することができたのは、アルジャーノンだけだったのかもしれません。
天才になった男の喜びと孤独、そして愛の形を深く考えさせられる、心に残る一冊でした。













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