とっても面白かった。
正直お笑いはあまり詳しくはないのだけれど、くるまさんの思考回路がとても気になって手に取ってみた。
ただ、ここに出てくる固有名詞(漫才コンビの名前やネタなど)に知らないものが多かったので、YouTubeで検索し、漫才のネタを見ながら本を読んでみた。
埋められない知識の穴はあったが、ここのテンポや間、M-1の決勝戦の流れを、くるまさんはこういう言葉に翻訳してるのか、と考えながら読み進められた。非言語的なものの構造やルールを知りたい、ハックしたいという欲がある人は、お笑いに詳しくなくても楽しめるんじゃないかなと思う。私は自分が好きな音楽やアイドル、アニメなどの構造と繋げて読んでみたけれど、とても面白かった。
少し前に、千葉雅也さんの「センスの哲学」という本を読んだけれど、あれが好きな人はこれも好きかも知れない…多分…。
漫才単体やお笑いの歴史を解剖して、漫才がなぜ面白いのか。その間やテンポ、2人の関係性。それをどう観客に見せて、どういう空気が流れて笑いが起きるのか…。その非言語領域、つまり「センス」と片付けられてしまった部分を徹底的に解剖してしまっている。しているではない、してしまったのだ……。ケンタッキーフライドチキンの公式レシピを知ってしまった気分だ。
多分くるまさんは漫才に限らず、対象となるものの点と点を集めて、それが線になったときや、カテゴライズできた時に、快楽物質が出る人なんだろうな。たまたまお笑いという世界に身を投じただけであり、彼が違う世界に身を置いていたなら、同じようにその分野を全て翻訳し切ってしまうのだろう。
私がくるまさんと同世代であることもあって、その点では知ってる情報が多かったことで共鳴できる部分も多かった。とんねるずさんが昔やってた「フジテレビスタッフいじり」、私も大好きだったなと思い出して、それがなぜ好きだったのかが的確に言語化されていて感銘を受けた。全て言語化されてしまって、自分の核が表に引きずり出されてしまったような気分。
"完成は希望だ"という言葉にも、勇気をもらった。もうこの世界は、完全に新しいものは生まれない。全ては組み合わせのパターンを変える時代に入っている。くるまさんにとっては、それが希望であり、おそらく人類の希望なのだろう(大袈裟)。
そしてこれは全て予想なのだけれど…くるまさんはこの分析全てを感覚で知っていて、あとから言語化するタイプなのかなと思った。直感的にわかるものを、言語に翻訳する能力が異常に高いんだろうな、と。
しかし、多分こういうのは言わないほうがかっこいい。全て知った上で、知らないように振る舞うのがかっこいいのだろうけど。それも承知で、我慢できず、こんな本を出版してくれたくるまさんに、感謝申し上げたい。

















