大国ギアーデ帝国と主人公たちが戦い守る全85区画を有するサンマグノリア共和国。
帝国は世界初の完全自立無人戦闘機械《レギオン》で共和国を侵略するが、同型機を開発した共和国側も犠牲を出さずに退けていた。
しかし、実際にはタイトルにある86(エイティーシックス)達が無人と称される有人機で戦っていたのだった。
2016年の第23回電撃小説大賞の大賞作品です。
1巻でとりあえず完結しています。
2、3巻で完結するお話ではないので、とりあえず試しに読んでみるという選択ができる本です。
文章自体は難しい言葉がたくさんあって、文学的な作品でもあります。
ハードな世界観と雰囲気が86作品の特徴で魅力的な所です。
人種差別を示す差別的な表現や86を「豚」と呼ぶなど不快に思う人もいるので、ここは要注意だと思います。
物語の展開は引き込む力を感じました。
各場面の描写や演出は良く、特に戦闘シーンはもっと読みたいと思える仕上がりです。
登場人物では、銀髪で美しいヒロインのレーナと死神と呼ばれるヒーローのシンには際立つ魅力を感じました。
理想主義のヒロインと本当に厳しい現実を戦う86との対比、仮初の平和を味わう共和国の人々がリアルさを醸し出しています。
戦闘機が出てくる作品やロボットモノではよく出てくるコールサインや無線通話が厚く記されており、メカ好きには読み応えがありました。
進撃の巨人やマブラヴオルタネイティヴのような絶望的な状況を描いた作品を楽しめた人にはおすすめです。