『ピットフォール』『ラットトラップ』に続く、探偵ジョー・スナイダーが主人公のニューヨークを舞台にしたハードボイルド小説。
依頼内容はメジャーリーグの野球選手の素行調査。ヤンキースやドジャースが出てきてなかなか面白い。今回はロサンゼルスにも出張している。
調査対象の選手は、良いのか悪いのか、なかなか分からない。それでもって、独身なのに子供やその母親の影が出てきて困惑させる。そんな中、その子供が誘拐され、調査中の選手が大ケガをさせられてしまう。そこから、ストーリーは一気に動き出す。
探偵のジョーは、身代金の運搬から事件の捜査にと、深く関わることになる。犯人の真意が分からないまま、怒涛のクライマックスを迎える。
前作ではアシスタントだったリズが、独立して活躍している。それでもジョーの件では大きく関わってきて、ストーリーを膨らませている。
主人公の探偵ジョーは、55歳の設定になっていて、仕事の引退、最後の女性、終のすみかなどなど、気持ちの整理をつけようとしているかに見えて、哀愁を感じさせてくれる。
でも、まだ炎は消えていない。ジョーのその先を読んでみたいと思う。このニューヨークハードボイルド3部作は、今作で完結とのことだが、読者としても、まだ炎は消えていないので、ぜひ続編を期待したい!