『国宝 上 青春篇』は、歌舞伎という伝統芸能の世界に飛び込んだ青年・喜久雄の数奇な人生を描いた壮大な物語。高校生の視点からは、夢を追うことの厳しさと覚悟の重さが強く心に残る作品です。
『国宝 上 青春篇』を読んで、「芸の道って、こんなに厳しいんだ」という驚きだった。喜久雄は、長崎の任侠一家に生まれながら、歌舞伎の世界に飛び込む。そのギャップがすごくて、まるで別世界に迷い込んだような気持ちになった。
喜久雄は、血筋や過去に縛られながらも、自分の芸を磨き続ける。師匠との関係や、ライバル俊介との確執、そして襲名披露の場面など、緊張感があって、読んでいて息が詰まりそうだった。特に「禍福は糾える縄の如し」という言葉が印象的で、幸せと不幸が交互に訪れる人生のリアルさが胸に刺さった。
自分にとって、歌舞伎は遠い異世界の存在だったけれど、この作品を通して「伝統を守ることの重み」や「芸に生きる覚悟」が少しだけ分かった気がする。喜久雄のように、自分の信じる道を貫くには、才能だけじゃなくて、努力と覚悟が必要なんだと思った。
また、喜久雄が周囲からのバッシングや嫉妬に苦しみながらも、舞台に立ち続ける姿は、どんな夢にも通じるものがあると感じた。
『国宝 上 青春篇』は、ただの芸能小説じゃなくて、人間の強さと弱さ、そして生きることの意味を教えてくれる作品だった。読んでよかったと心から思える一冊。