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江國香織さんのデュークの感想です。
クリスマスイブの夜、愛犬を亡くした主人公が、街で不思議な少年「彼」と出会う物語です。
その「彼」は、まるで亡くなった愛犬の生まれ変わりかのように、主人公の心に寄り添います。
その温かい存在感に、主人公は少しずつ心の傷を癒やされます。
本書は、喪失感、孤独、再生を描いた美しい短編だと思います。
主人公に感情移入して「彼」との出会いを通して、愛するものを失った悲しみと、そこから生まれる新たな希望を感じることができます。
物語の終盤、主人公が「彼」に尋ねる「あなたは誰?」という問いかけは、心に突きつけられる言葉でした。
決して派手な物語ではありませんが、心に静かに語りかけてくる作品だと思います。