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森田実『中庸思想の源流 孔子とアリストテレス』は、東洋と西洋の哲学を比較しながら、中庸思想の本質と起源を探る一冊です。孔子の儒教思想とアリストテレスの倫理学における「中庸」の概念を対比し、バランスの取れた生き方や節度の重要性を明らかにしています。哲学的洞察と具体的な解説を通して、現代社会における判断力や自己修養に応用できる知恵を提供する書です。
九十年の人生を振り返ると、小学校低学年の頃、母から教えられた「過ぎたるは猶お及ばざるが如し」の生き方が、私の人生の「芯」になっていたことを改めて確認した。
少年期から青年期にかけて左翼政治運動の渦中に身を置いたが、周囲はほとんどが極端を好む「過激」派的考えの持ち主ばかりだった。私は、彼らの跳ね上がりを抑える側に立っていたが、つねに孤立していた。政治運動における少数派の運命は、決まって悲惨である。あぶない経験もしたが、「過ぎたるは猶お及ばざるが如し」の中庸思想を貫いて生きてきたつもりである。
左翼運動を卒業してジャーナリズムの世界に入ったが、ジャーナリズムの世界でも「中庸」派はつねに少数派だった。とくにマスコミにおいては「極端」派が多数派だった。しかし、私の心身には「中庸思想」がしみついていて、極端派とは同調できなかった。
孔子とアリストテレスは、私の師である。『論語』と『ニコマコス倫理学』は最も大切な原典である。(著者あとがきより)
森田実『中庸思想の源流 孔子とアリストテレス』は、東洋と西洋の哲学を比較しながら、中庸思想の本質と起源を探る一冊です。孔子の儒教思想とアリストテレスの倫理学における「中庸」の概念を対比し、バランスの取れた生き方や節度の重要性を明らかにしています。哲学的洞察と具体的な解説を通して、現代社会における判断力や自己修養に応用できる知恵を提供する書です。