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戦後の混乱期を生きる没落貴族の家族を通して、生き方や価値観の変化を鋭く描いた作品です。主人公かず子の強くて繊細な内面が印象的で、母への愛や絶望、恋愛と自立の葛藤が胸を打ちます。時代の終わりと個人の再生を重ね合わせるような構成に、太宰ならではの痛切な美しさと哀しみを感じました。崩れていく中にこそ人間の真実が見える、重厚で心に残る一冊です。
「人間は恋と革命のために生れて来た」。古い道徳とどこまでも争い、“太陽のように生きる”べく、道ならぬ恋に突き進んでいく29歳のかず子。最後の貴婦人の誇りを胸に、結核で死んでいく母。自分の体に流れる貴族の血に抗いながらも麻薬に溺れ、破滅していく弟・直治。無頼な生活を送る小説家・上原。戦後の動乱の時代を生きる四人四様の、滅びの美しさを描き、戦後、ベストセラーになった、太宰の代表作。
戦後の混乱期を生きる没落貴族の家族を通して、生き方や価値観の変化を鋭く描いた作品です。主人公かず子の強くて繊細な内面が印象的で、母への愛や絶望、恋愛と自立の葛藤が胸を打ちます。時代の終わりと個人の再生を重ね合わせるような構成に、太宰ならではの痛切な美しさと哀しみを感じました。崩れていく中にこそ人間の真実が見える、重厚で心に残る一冊です。