ありがとう
0
【あなたを独占したい。触れてほしい。愛している。どれも本心なのに一つも選べない】
カウンセリングルームで出会った麻由と蛍が織りなす、まるで硝子細工のように繊細な恋愛小説。2人の間には確かに愛が存在する。それなのに、麻由の蛍に近づきたいけど体が拒絶してしまう苦しみやごく普通の恋がしたいのにできない絶望感が苦しいほどリアルに伝わってくるので、読んでいるこちらまでやるせない思いでいっぱいになる。だけど、彼らの良き理解者であるさとる君や沙衣子のおかげもあったか、ラストは心地よい余韻がたなびき、読後感はとても良い。