三国志を題材にした創作物は数あれど、ここまでネタに走ったコミカルな三国志小説は珍しいのではないかと思います。
語り口がとにかくユニークで、ガンダムネタだのボクシングネタだのを持ち出したり、作者が展開にツッコミを入れたりして、その世界観はまさに宇宙的。
得体のしれないいんちき野郎のように描かれている孔明が、よく宇宙の話を持ち出して周囲をポカンとさせるのですが、
もはや作品自体が宇宙のようだと評しても過言ではないでしょう。
宇宙とはどういう意味か。それは作中の孔明からヒントを得ましょう、と
丸投げしておきます。
第壱部は、孔明が成人した頃から三顧の礼が終わるところまでのお話です。
途中からはもう一人の主役とも言える劉備が登場しますが、この劉備がまた愛嬌のある面白いキャラクターになっています。
必殺技は泣き落とし。食らった相手は高確率でついつい絆されてしまうという恐ろしい技です。
それでいて実は勘が鋭く、内心では色々悪いことも考えているというギャップ持ち。
ノリとしてはコーエーの歴史SLG『三國志11』のチュートリアルの劉備に似ているのですが、
一体この例えがどれほどの方に通じるのか、自分でも少し疑問に思います。
作品に影響されて書評もテンション高めの文章になってしまいました。
あくまでも真面目な三国志を読みたいという方にはあまりおすすめできません。
本筋とネタが入り混じっているため、三国志知識が全くないという方は混乱してしまう可能性もあります。
ただ、文章やキャラクターがふざけ気味とはいえ、正史や演技の話題にもきっちり丁寧に触れて(突っ込んで)くれています。
一風変わった三国志にチャレンジしたい! という方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
笑い過ぎないようにご注意を。