飲酒運転にひき逃げ——。ごく普通の大学生だった翔太が、一瞬の甘えと保身から「極悪非道な殺人者」へと転落していく。その過程の凄まじさに、一気読みせずにはいられませんでした。
この事故で妻を亡くした二三久が、加害者である翔太に「やりたいことがある」と近づきます。
被害者の息子・昌輝が母とは判別できないほど損傷した姿を目にしているのに加害者を許せるのだろうか。
「自分も同じくらいの年頃の子を持つ父親だから、加害者の家族も苦しんでいることは理解できる」。そんな理性ではわかっていても、心の底から許せるはずなんてありません。
「父が加害者側と会ってから穏やかになったから」という理由だけで、失われた命への怒りは消えるものではない。現実はそれほど甘くないと思います。
誰の身にも起こりうる「魔が差す」瞬間と、その先に待つ地獄。そして、被害者家族が背負い続ける終わりのない葛藤……。人間の業と救いを真っ正面から突きつけられる、強烈な一冊でした。
















