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介護を通して人生の意味や家族の在り方を問いかける、鋭くもユーモラスな視点が光る作品です。死を望む祖父と、生きることに執着する孫のやり取りは、ときに滑稽で、ときに切なく、現代の高齢社会が抱える矛盾や葛藤をリアルに浮かび上がらせます。軽快な文体の奥にある深いテーマが読後にじわじわと残る、読み応えのある小説でした。
「じいちゃんなんて早う死んだらよか」。ぼやく祖父の願いをかなえようと、孫の健斗はある計画を思いつく。自らの肉体を筋トレで鍛え上げ、転職のため面接に臨む日々。人生を再構築中の青年は、祖父との共生を通して次第に変化してゆくー。瑞々しさと可笑しみ漂う筆致で、老人の狡猾さも描き切った、第153回芥川賞受賞作。
介護を通して人生の意味や家族の在り方を問いかける、鋭くもユーモラスな視点が光る作品です。死を望む祖父と、生きることに執着する孫のやり取りは、ときに滑稽で、ときに切なく、現代の高齢社会が抱える矛盾や葛藤をリアルに浮かび上がらせます。軽快な文体の奥にある深いテーマが読後にじわじわと残る、読み応えのある小説でした。