長い道のりを友人や同級生とひたすらに歩くイベント。独特なイベントの中での会話や人間関係が一つ一つ面白くてはまります。歩き続けた先に何があるのか、学生たちの心はどう動いてゆくのか、考えるだけワクワクします。
「みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。」(本文より)
永遠の青春小説だ!
恩田陸という作家を知ったのは本屋大賞を取ってからだったと思う。何冊か読んでいるが、一番に挙げる作品はやはりこの作品「夜のピクニック」。高校生が一晩かけて80キロを歩くというイベントに高校生男女が繰り広げる青春のやり取り。心の葛藤をこれでもかと描いている。恩田陸ってスゴい作家だなって思った!
恩田陸さん作、
第2回本屋大賞/第26回吉川英治文学新人賞を受賞した作品です。
全校生徒が夜を徹して80キロの道のりを歩き通す「歩行祭」。
その学校行事を舞台にした青春物語で、主人公である高校3年生の甲田貴子は、高校生活最後の「歩行祭」に際して、3年間誰にも言えず、胸に秘め続けてきた思いを精算するために、密かに賭けをして挑みます。
その賭けの対象である西脇融も、貴子に対して複雑な感情を抱きながら歩き続けます。
青春小説といえば「爽やか」な感じや「甘酸っぱい」感じを想像しますが、この作品では主人公を中心とした複雑な人間関係や、貴子や融の一歩引いた冷静さが、よくある青春小説とは異なる感じを抱かせ、ただただ静かに物語が進んでいきます。
「みんなで夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう」
この言葉の通り、ただ主人公たちが歩いているだけなのに、読んでいくに連れて作品に引き込まれてしまいます。
読み終わった後には、心地よい余韻が残り、なぜだか幸福感に包まれます。
「人生」とは何か、「青春」とは何かを考えたり、思い出したりするきっかけにしてはいかがでしょうか。
青春真っ盛りの中学生や高校生、青春から掛け離れてしまって人生に辟易としている社会人のみなさんにおすすめします。
『夜のピクニック』は、高校最後の「歩行祭」という一度きりの行事を通して、
登場人物たちの秘密や葛藤が、少しずつほどけていく過程がとても印象的な作品だと感じました。 
ただ“80キロ歩くだけ”の一晩なのに、友人との会話や何気ない景色、
そして貴子と融のささやかな「賭け」が積み重なることで、それぞれの心が静かに変化していく様子が丁寧に描かれています。 
大きな事件は起こらないのに、読み終えると、自分も一緒に夜道を歩き切ったような余韻と、
青春の一瞬をそっと抱きしめたくなるような、やさしい後味の残る小説だと思いました。
恩田陸の『夜のピクニック』は、高校最後の「歩行祭」を通して描かれる青春群像劇です。一晩中歩き続けるというシンプルな行事の中に、友情や恋心、家族へのわだかまりなど、さまざまな感情が静かに浮かび上がります。特に、西脇と甲田の複雑な関係が少しずつ解けていく過程が繊細で、心を打ちます。派手な出来事はないのに、読後には不思議な爽快感と温かさが残り、「青春とはこういう瞬間だ」と感じさせる名作です。
ある学校で行われる毎年の行事。とんでもない距離を1日を通してぶっ通し歩き続けるというもの。それに参加する高校生たちの物語。主人公の融には腹違いの兄弟が同じ学年にいる。その貴子と二人の心情によりそった物語!















