谷口眞子『葉隠〈武士道〉の史的研究』は、『葉隠』を単なる精神論としてではなく、江戸期佐賀藩の社会的・歴史的文脈の中で位置づけ直す本格的な学術研究書。武士道思想の形成過程を、藩政・身分秩序・宗教思想などとの関連から多面的に検証しており、「葉隠」がどのようにして“死をもって忠を尽くす”倫理へと結晶したのかを明らかにしている。観念的理解を超えて、歴史的リアリティを伴う武士道の実像を示す、非常に読み応えのある一冊だった。
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発売日: 2022年07月30日
発行元: 吉川弘文館
現代人はなぜ、葉隠と言えば「武士道というは死ぬこととみつけたり」を想起するのか。日本史・日本思想史・日本文学にまたがる領域横断的方法から、葉隠〈武士道〉300年の歴史に迫り、現代人が無意識のうちに前提としてきた「日本」「武士道」の認識枠組みが、過去の記録・記憶・歴史意識の絶えざる読み替えの結果であることを示す初めての書。
序論 創られた葉隠像の解体に向けて/葉隠成立の軌跡と山本常朝の奉公観(山本常朝の略歴と葉隠の奉公観〈山本常朝の略歴/葉隠成立以前の常朝の奉公観/葉隠の構成と常朝の奉公観/御側仕えの奉公人道〉以下細目略/山本常朝の古今伝授奉公ー和歌を通じた公家との交流/歴代藩主へ提出した常朝の意見・異見・諫言/葉隠成立と鍋島直茂百回忌ー中野家・山本家の危機)/読み替えられていく葉隠ーナショナリズムと郷土愛(パトリオティズム)のはざまで(明治〜昭和初期の葉隠抄本・全集本の刊行/一九三○年代の佐賀における葉隠の顕彰と学校教育ー葉隠をめぐる「記憶の場」と「教育の場」/一九三○年代の日本における葉隠の普及過程/日本精神としての葉隠ー戦陣訓発布から特別攻撃隊へ)/結論 テクストとしての葉隠と書物としての『葉隠』-言説空間と意味生成のメカニズム
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