「鮎川哲也賞」受賞作品。巻末に収録されている選考委員の選評にあるように、救急救命医の主人公の病院に瓜二つの見た目をした患者が運ばれてくる、という冒頭に鷲掴みされて作品世界に引き込まれる。
殺人事件そのものだけでなく、もっと大きな事件の背後には主人公の出生の秘密が気になってどんどん読み進めた。
暗く重いテーマを扱いながらも、その中に強い人間の意志と希望が見えてくる物語でした。タブーとされる存在として生まれた主人公が、周囲の偏見や孤独に立ち向かいながら、自分らしさを探していく姿が胸に刺さります。物語は時に苦しく、つらい場面も多いけれど、それでも前を向く力強さが伝わってきて、読後には深い余韻が残りました。簡単には語れない重みがありつつ、人間の根っこの部分に触れるような作品です。



















