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「同居」をテーマにしたアンソロジー。ずっと積読にしていた一冊ですが、読み始めてみたら、シチュエーションの多様さに一気に引き込まれました。
同じ「ふたりぐらし」でも、関係性や背景はバラバラ。それぞれの物語に間取りや家賃などの具体的な情報が添えられているので、二人の生活空間をリアルに想像しながら楽しむことができました。
特に印象に残った作品をいくつか。
『鳥かごの中身』は、読んでいて終始ハラハラしました。主人公の行動は純粋な親切心からくるものでしたが、状況によっては誘拐と捉えられかねない危うさがあります。親の身勝手さには憤りを感じましたが、最後におばあさんが主人公の善意を正しく受け止めてくれたことには救われました。ただ、現実的には児相や警察に相談するのが最善なのだろうな……と、今の時代の難しさも考えさせられます。
他にも、トランスジェンダーの日常を鮮やかに描いた『女子的生活』、しっとりとした情緒のある『月の砂漠を』、そしてタイトルの絶妙な生活感がたまらない『冷やし中華にマヨネーズ』が特にお気に入りです。
ひとつの家、ふたりの人間。その数だけ物語があることを教えてくれる、読み応えたっぷりの一冊でした。












