『君の膵臓をたべたい』は、「死」を真正面から描きながらも、重く沈むだけではなく、「生きること」の意味を静かに、そして強く問いかけてくる作品だと感じた。タイトルの衝撃的な印象とは裏腹に、物語はとても繊細で、人の心の奥にそっと触れてくるような物語だった。
物語は、膵臓の病気で余命を宣告された山内桜良と、他人と距離を保って生きてきた「僕」との出会いから始まる。正反対の性格を持つ二人が、偶然にも桜良の秘密を共有することで少しずつ関係を深めていく展開は、とても自然でリアルだった。桜良は明るく、誰に対しても分け隔てなく接する一方で、自分の死を冷静に受け止めている。その姿は強く見えるが、実は誰よりも「生きたい」と願っていることが、言葉の端々から伝わってくる。
一方の「僕」は、感情を表に出さず、人と深く関わることを避けて生きている人物だ。桜良と行動を共にする中で、彼は少しずつ他人と関わることの意味や、誰かと時間を共有することの大切さに気づいていく。その変化は劇的ではないが、だからこそ現実味があり、読者も自分自身を重ねやすいと感じた。
この作品で特に心に残ったのは、「限られた時間」の描かれ方だ。桜良にとって未来は確実に短いが、実はそれは誰にとっても同じであるという事実を、物語は静かに示している。明日が必ず来る保証は誰にもない。それでも多くの人はそのことを忘れ、何となく日々を過ごしてしまう。桜良の存在は、その当たり前を壊し、「今日をどう生きるのか」を読者に突きつけてくる。
また、桜良が「かわいそうな病人」として描かれない点も印象的だった。彼女は弱音を吐き、わがままを言い、時には人を傷つけることもある。完璧ではないからこそ、彼女は「生きている人間」として強く心に残る。病気は彼女の一部でしかなく、彼女の人生そのものではないという描写が、この物語をより深いものにしている。
物語の終盤では、読者の予想を裏切る形で「死」が訪れる。その展開は非常に残酷だが、同時に現実的でもある。人は必ずしも覚悟ができた瞬間に別れを迎えられるわけではない。だからこそ、「今この瞬間を誰とどう過ごすか」が何よりも大切なのだと痛感させられる。
読み終えた後、悲しさや喪失感は残るが、不思議と心は少し温かい。その理由は、桜良が確かに「生きた」証が、「僕」の中に、そして読者の中に残るからだと思う。彼女の言葉や行動は、「僕」を変え、彼のこれからの人生に影響を与え続ける。それは、人は死んでも誰かの中で生き続けるという、希望のあるメッセージとして受け取れた。
『君の膵臓をたべたい』は、命の尊さを声高に訴える作品ではない。しかし、読み終えた後、何気ない日常や、隣にいる人の存在が、少しだけ大切に思えるようになる。悲しい物語でありながら、確かに前を向く力をくれる一冊だと感じた。
膵臓がんの女子高生が主人公の青春小説です。タイトルの意味は小説の中で明かされます。映画にもなっていますが小説のほうがより詳細に描かれていておすすめです。
この小説を読んで福岡に行きたくなりました。驚くラストは、その後まで丁寧に描かれていて涙なしには読めませんでした。おすすめの小説です。
生と死を繊細に描きながら、限られた時間の中での大切な人との絆や成長を感じさせる物語でした。切なさと優しさが共存し、心に深く残る青春小説です。登場人物の感情表現が丁寧で、読み進めるほど胸が熱くなりました。
最初はタイトルの膵臓を食べたいって
とても恐ろしいなと思っていたけれど
読んでみると納得した
膵臓の病気で残っている時間がもう少ないと
わかった山内桜良は自分の会いたい人としたいことを
目一杯することに決めた
読んでいて彼女の強さとそして、
死の怖さを懸命に押し隠そうとする描写に胸がつまる
病気が一時良くなって外泊許可が出て
僕とのデートするときの嬉しさが伝わってくる
しかし、最後は無情だな
『君の膵臓をたべたい』は、死の影を抱えた桜良と、他人に関心を持てなかった「僕」が
限られた時間をともに過ごすことで、世界の輪郭が少しずつ変わっていく物語だと感じました。
「特別な誰かと生きる」ということが、劇的な出来事ではなく
日常の会話や小さな選択の積み重ねで描かれているのがとても印象的です。
読み終えたあと、自分の毎日もほんの少し丁寧に生きたくなる一冊でした。
自分とはおかれている状況は全然違う女の子のお話、けれどすごく感情移入できる展開で読んでいて飽きないしとても感動する。
急に巻き込まれてしまう男の子と少し強引な女の子が時に笑いあい、喧嘩するところを見ていると一瞬忘れていた高校生なんだなという設定を思い出す。
高校生という若い命には大きすぎる錘が彼女を苦しめているのにずっと笑っている彼女が印象的だった。
この作品は、クラスメイトの山内桜良の余命が限られているという秘密を知った「僕」が、彼女と過ごす“残された時間”によって、自分の殻を破っていく、そんな静かで切ない青春物語でした。 
特に、最後まで名前が明かされない「僕」の視点や、桜良の飾らない言葉と生きざまがリアルで、読んでいると“生きること”や“人との関わり”の尊さを改めて感じさせられました。 
読後には、切なさと同時に、「日常の何気ない瞬間こそ大切にしたい」と思える、優しく胸に残る一冊でした。
死因は意外でしたが、物語の核となる部分は予想の範疇で、特に大きな感動はありませんでした。
主人公の桜良の病名が一切出てこないことにモヤモヤしましたが、作者が意図的に架空の病気とした、という背景があるようです。全体を通して、良くも悪くも「若い」作品だなと感じました。
しかし、やたらと「草舟(流されるまま)」と表現し、桜良の言う通りにしているように見せていた主人公が、実は自分で選んで行動していたと気づく場面は、非常に良かったです。自分の意思で世界と関わり始めた主人公の成長が印象的な作品でした。
読み進めるほど胸が締めつけられ、涙が止まりませんでした。死を前にしても明るく生きようとする姿に心を揺さぶられ、彼女の言葉や笑顔が強く焼きつきました。ラストに近づくにつれ喪失の悲しみが押し寄せる一方で、生きることの尊さや人と関わる意味を深く考えさせられました。読後も余韻が消えず、心に温かさと切なさを残しました。











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