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さまざまな形で娘の人生に影響を与える母親たちを描いた短編集です。
過干渉で娘をコントロールする母、妹だけを可愛がり姉には無関心な母、無気力で植物だけに執着する母、亡き姉の代わりに後妻となり父と睦み合い、暴力で娘を支配しようとする母、そしてネグレクトで娘を家政婦代わりにする母。
どの物語も、問題が全く解決しないまま終わるのがリアルで恐ろしく感じました。大なり小なり、母との関係性で悩むことはあるでしょうが、これほど苦しいなら、少しだけではなく思い切って母親から離れたほうが良いと強く思いました。
しかし、登場する娘たちは、母への期待を捨てきれず、結局は離れられない。これは娘の優しさなのか、それとも母親からの呪縛なのか。読後も深く考えさせられる、重くも引き込まれる一冊でした。