舞台になっている瀬戸内の白綱島は架空の地名だが、著者の出身地、因島を思い浮かべて読むことになる。
短編集の書名は中の1篇から取られることが多いが、島を出て行った人がかつて閉鎖的な島で送っていた辛い過去と行き来する作品に共通するテーマを表すことばが書名の「望郷」である。
辛い中に最後に希望を感じられるストーリーから、島を肯定するか否定するか、著者のせめぎ合う思いを感じる。
日本推理作家協会賞受賞! 心に刺さる連作短編集
都会から離れた島に生まれ、育った人々。
島を憎み、愛し、島を離れ、でも心は島にひきずられたままーー
日本推理作家協会賞受賞作を収録。
閉ざされた“世界”を舞台に、複雑な心模様を鮮やかに描く湊さんの連作短編(全六編)。
収録作「海の星」が日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞、選考委員の北村薫氏は、
「鮮やかな逆転がありながら、小説の効果のための意外性のため無理に組み立てられた物語ではない。筋の運びを支える魚料理などの扱いもいい。(中略)--ほとんど名人の技である」と絶賛。
自身も“島”で生きてきた湊さんが「自分にしか書けない物語を書いた」と言い切る会心作。島に生まれ育った私たちが抱える故郷への愛と憎しみ…屈折した心が生む六つの事件。推協賞短編部門受賞作「海の星」ほか傑作全六編。
みかんの花
海の星
夢の国
雲の糸
石の十字架
光の航路
舞台になっている瀬戸内の白綱島は架空の地名だが、著者の出身地、因島を思い浮かべて読むことになる。
短編集の書名は中の1篇から取られることが多いが、島を出て行った人がかつて閉鎖的な島で送っていた辛い過去と行き来する作品に共通するテーマを表すことばが書名の「望郷」である。
辛い中に最後に希望を感じられるストーリーから、島を肯定するか否定するか、著者のせめぎ合う思いを感じる。