表紙は今巻まったく出番がない不死川さんです。彼は好きだけど見せ場的に他のキャラでもよかった気がする、義勇とか。
内容はしのぶVS童磨の決着と善逸の兄弟子との因縁がらみ、猗窩座戦。
相変わらず戦闘シーンは緊迫感あって面白いが不満点も。
前巻でも思ったのだが、行冥の過去に関する重要人物のさよだけが知る真実の告白など、本編に織り交ぜて描かず単行本のおまけの裏話としてチラッと小出しにするのが凄く惜しいもどかしい。
獪岳に至っては善逸を覚醒させるためだけに登場した出オチの噛ませで、ほぼ内面の掘り下げがない。
何故彼がああなるに至ったかはチラリと書かれているが、正直説得力が薄い。
全ての敵や悪役に不幸で可哀想な過去がなきゃいけない訳じゃないし、それは別にいいのだが、実力も他の上弦と比べて格段に落ちるし、彼の役回りが善逸の覚醒のみを前提にしてるのがちょっと腑に落ちない。
「幸せを入れる箱に穴があいてる」など表現は秀逸で、思い当たる読者も多そうだ。
今巻でスポットライトがあたる猗窩座をはじめ、十二鬼月の敵キャラが壮絶な過去を抱えているのに比して、存在感が薄かったのが残念。
せっかく行冥の過去と跨るキャラなのだから、裏話でサラッとネタバレせず、エピソードを掘り下げてドラマを膨らませてほしかった。
行冥と獪岳が再会した時の反応も見たかった……敵と面白そうな接点があっても直接対決なく終了しがちで、肩透かしな感が否めない。
各キャラの因縁の敵が他のキャラの仇でもあったりと、過去がリンクしてるのは他であまり見かけない面白い趣向。考えてみれば雑魚は隊士に狩られるし、生き延びている個体数を考えれば、親族の仇がだぶるのも道理。











