加賀恭一郎シリーズ
自分を置いて出ていった母親と関連した事件が
引き起こされる
出ていった母親のその後の足跡を辿る
真実はなんとも無情
被害者のカレンダーに記載されている橋の謎、
そしてどうして母親は加賀らを置いて出ていったのか
真実に迫る時、悲しい事実が待ち受ける
浅居親子の人生は、正直、フィクションであってほしいと何度も思いました。それでも、現実にもきっとどこかに似た境遇の人はいるのだろうと考えると、胸の奥がきゅっと縮むようでした。誰もが誰かを守ろうとして、結果的に誰かを追い詰めてしまう構図がつらかったです。
加賀はいつも通り淡々と事実を追っているようで、今回は一歩ごとに自分自身の過去に近づいてしまう。その足取りの重さが、文章の行間からじわじわ伝わってきました。シリーズで長く見てきた人物の、いちばん触れられたくなかった場所に手を伸ばす物語として、読了後もしばらく心が動揺したまま落ち着かない一冊でした。


















