シリーズ1作目から読んでいて今回3作目ということで、期待に胸を膨らませながら手に取りました。
キャラクターの影もうまく表現されていて、毒気がなく安心して読める作品です。
主人公は名家のお嬢様なのに気取らず人当たりのいい紗良。
彼女は今日も、横浜山手にあるホテル猫番館のパン職人として働きます。今回はどんな物語を見せてくれるのでしょうか。
はじめの章は、紗良の専門学校時代の男子同級生にスポットを当てていて、彼が紗良に敵対心を抱いていることが明らかになります。
なんと、紗良が働いているホテルにやってきて彼女のポジションを奪おうとする始末。
いったい紗良はどうなってしまうのでしょうか……
人柄のいい紗良がいろいろなところに気を配って、自分のことのように行動する姿に心が動かされます。
そして、彼女の優しさを見てくれている人はちゃんといることを再認識できるお話でした。
日常から離れた別世界を提供してくれるホテル。
お客様をおもてなしする工夫を凝らしたパンだけでなく、華麗な料理や、見ているだけで心ときめくスイーツがたくさん出てきます。
どんな味かを想像し、実際に口にしたくなりました。
また、ティータイムにもスポットを向けたシーンでは、英国に想いを馳せたおもてなしの数々に心が癒され、
イギリスで優雅にティータイムを過ごしているかのような気分に浸れます。
英国ならではのトリビアを食事のポイントとして取り入れているのがスマートで、日常生活でも真似できたらかっこいいなと思いました。
紗良がパン職人として働く日々を描きながらも、ホテルでの非日常空間も味わえる作品です。
是非一度ご覧ください。