「教養としてのラーメン」の読書感想文をご紹介します。
青木健氏の著書「教養としてのラーメン」は、単なるラーメンのガイドブックではなく、日本人の国民食であるラーメンを文化、歴史、ビジネス、そして哲学として捉えた深遠な一冊です。
本書は、ラーメンのジャンル分けから始まり、その系譜、進化、そしてビジネスモデルまで、多角的な視点からラーメンを分析します。
ラーメン店主の思考、スープの奥深さ、麺の種類の多様性、そして客の心理まで、ラーメンに関わるあらゆる要素が網羅されています。
特に興味深かったのは、ラーメンを「体育会系」、カレーを「文化部系」と捉える著者のユニークな視点です。
ラーメン店は互いに切磋琢磨し、常に進化を追求する体育会的な側面を持つ一方、カレー店は個性を重視し、独自のスタイルを追求する文化部的な側面を持つという分析は、ラーメンという文化を深く理解する上で新たな視点を与えてくれます。
また、ラーメンの食べ方一つにも哲学が込められていることに感銘を受けました。
スープをレンゲで飲むか、丼から直接飲むか、麺をどの位置から持ち上げるかなど、些細な行為にも味が変化する可能性があるという事実は、ラーメンという食べ物の奥深さを物語っています。
本書は、ラーメンを単なる食べ物としてではなく、日本の文化を象徴する存在として捉えることで、私たちに新たな発見と感動を与えてくれます。
ラーメンを愛する全ての人々、そして日本の食文化に関心を持つ全ての人々にとって、必読の一冊と言えるでしょう。