ふと気がつけば、自分は3年前に自殺して生き返った、ということになっている。そんな不可解な状況にある徹生が3年前に検死を行なった医者を訪ねるところから始まる。
「生き返った」といっても3年前に検死され、埋葬された遺体と、現に生きている身体の関係はどうなるのか、全く説明されないままに、同様の事例のあるSF的な社会が描かれる。
この作品の「分人」という概念が後の『ドーン』に続いていくのか、とも思うが、私は全くついていけなかった。ポジティブな終わり方ではあるが、生き返った「謎」がすっきり解決されることもなく、中途半端に感じてしまった。