私は初めて「時間の有限性」を本気で受け止めた。
人生が約4000週間しかないという事実は、数字以上に衝撃的だった。今まで「いつかやろう」と思っていたことが、実は“やれる回数が限られている”と気づいた瞬間、時間の使い方に対する意識がガラリと変わった。
著者のバークマン氏は、現代の「生産性至上主義」に疑問を投げかける。
やることリストを完璧にこなすことが目的ではなく、本当に大切なことに時間を使う勇気を持つことが重要だと説く。
「すべてをやりきることは不可能。だからこそ、何を諦めるかを選ぶことが人生だ」という言葉には、深い納得感があった。
印象に残ったのは、「非生産的な時間の価値」についての考察だ。
何もしない時間、ぼんやりする時間、予定のない時間。そうした“余白”こそが、人生を豊かにするという視点は、これまでの時間管理術とはまったく違う。
効率だけを追い求めるのではなく、“今ここ”にいることの意味を見つめ直すことが、限られた時間を生きる上での本質なのだと。
時間をどう使うかだけでなく、人生をどう生きるかを静かに、しかし力強く問いかけてくる。
読み終えた今、私は「何をするか」よりも「何をしないか」を意識するようになった。今日という一日を、丁寧に過ごそうと思うようになりました。