「置かれた場所で咲きなさい」
成瀬あかりという人物を知った時、その言葉を思い出した。
それは、環境の型にハマる技術を身につけることではなく、その地の風を感じ、温度を感じ、自分の衝動のまま、周りを巻き込んでいくことなのだ。
私は、登場人物の人柄を文章で表すとき、文体というものが唯一の手掛かりになると思っている。
この物語には、成瀬を取り巻く人たちの視点で、成瀬という人物の輪郭をかたどっていくが、成瀬の世界の引力に吸い込まれるのか、みんな心理描写があっさりしているところに、非常に好感を持った。
それほどまでに、成瀬が持つ"人を巻き込む力"というものが、強いのだろう。
まるで、台風の目のような人物だ。
今ある現実を下に見ない。その上があるはずだという幻想も抱かない。ただ、目の前にある景色が、成瀬にとっては全てなのだろう。
他人の整った状態の景色と、自分の整っていない状態の景色を、無意識に比べてしまう時代だからこそ、成瀬あかりから学ぶものは、たくさんあると感じた。

















