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ヴァンパイアウイルスに感染して、夜しか活動ができなくなった刑事が主人公。
ストーリーの始まりは、なかなか流れがつかめなかった。SF的な世界観で覆われていて、ヴァンパイアウイルスを新型コロナウイルスに想像すればいいのか、戸惑ってしまった。
でも読んでいくうちに、ストーリーの骨格が確かになり、楽しませてくれた。ヴァンパイアウイルスによって、感染者対非感染者の対立が生まれ争いになる。それでも、自分に降りかかる悪い状況を追い払いながら、ひとりで事件に立ち向かっていく夜刑事。
外国のスパイらしき女性が近づいてきて、敵なのか味方なのか、それとも男女の関係になるのか、ストーリーを膨らませてくれる。最終的には、バイオテロを阻止できるかどうかの決着になる。
大沢在昌のこれまでの作品『新宿鮫』の鮫島みたいな孤独さと『感傷の街角』のような粗削り感を彷彿させてくれた。まだまだ夜刑事・岬田の活躍を読みたいので、ぜひシリーズ化して欲しい!