脚本の整合性がないというのはその通り。
渋天街への行き方簡単すぎねアレじゃ過去何十何百と人間迷い込んだろとか楓は足引っ張っただけであんまり存在意義ないとか一郎彦は本を手に取っただけで読みもせず白鯨イメージしたのとか、ツッコミどころはキリがない。
今回は細田守が脚本担当してるらしいが、無理をせず脚本担当は担当の人に任せて、演出面に全力投球してほしい。
細かい矛盾点が多すぎて、一度それにひっかかると集中して観れない。
熊徹が立ち上がるのをカウント中断してわざわざ待ってくれる審判とか、それに対して何も言わず大盛り上がりの周囲とかどうなの?ずるくない?大事な試合だからこそ公平性が期されるのに。猪王山の時はあっさりテンカウントとったろ……。
もっと言えば多々良と百秋坊、序盤で猪王山と戦ったとき熊徹応援しろよ!「だれも応援してない……アイツひとりぼっちだ」とか九太が言ってたけど、お前ら友達だろ!!
一郎彦のコンプレックスはわかるが、それをあそこまで九太相手に拗らせた説得力が足りない。
作中あと一回は九太と絡みが欲しかった。帰り道を送るシーンなんて、突然ブチギレたように感じる。
猪王山が一郎彦の前で「あの子供よくやってるな」と褒めてジェラシーでもいいが。
その猪王山も「ああ最悪だー」て、強さと人品が宗師の条件なのに、なんでそんなキャラに合わないトホホなセリフ吐くの……一郎彦の暴走を目の当たりにして、うっかり本音がでちゃったのかと思ったけど。
その手のツッコミどころは大量だが、熊徹と九太のガサツな師弟関係が疑似家族に変化していく描写などはとてもいい。渋天街の背景美術も素晴らしく、無国籍な世界観にどっぷり浸れる。
熊徹の家なんて最高!あんなとこに住みたい!
熊徹のキャラもよく、傲岸不遜でことあるごと怒鳴り散らすダメ男だが、その獣っぽい豪放磊落さが魅力的。多々良と百秋坊を交えたとぼけた掛け合いが好き。
各地の宗師をめぐって旅するエピソードがあるが、終盤を削ってここの尺を盛ってほしかった。旅の中で師弟の絆の深まりや強さへの気付きをもっと描けたろうに、さらっと流されちゃってちょっと残念。各宗師が治める街の構造がどれもステキ過ぎて、一瞬で終わるのがもったいない!
チコの正体は九太の母(の生まれ変わり?)らしいが、個人的には蛇足。
折々に九太を導く役割を果たしてるのだろうが、「ひとりぽっちの少年が父性と出会い成長、やがて自分の道を見付ける」テーマにしたかったのなら、母親は退場したきりでいい。その方がブレない。
個人的な好みも入るが、「死んだ母親の幻聴(アドバイス)でヒントに気付かされる」より、九太自身がさんざんな試行錯誤の内に一皮剥ける、というほうがより応援したくなるし成長を実感できた。
楓に関しては、恋愛を描きたいならヒロインを出す必要があったのかなと思うが、この話に関しては別に恋愛要素いらない。
少年の成長と父子の関係性に焦点をあてたいなら、恋愛が雑音になる。
「あの子ウザくて一年の頃から無視されてるw」って言われてたのに、学校ではフツーにしゃべってて「え?」いじめっ子が消えて友達ができたのかもしれないが、説明不足。じゃあ最初からあのセリフいらない。
終盤の説教ぶちかましに関しては……アレが九太、もしくは心配でたまらず追ってきた二郎彦や猪王山なら不快感もないのだが、楓と一郎彦は初対面だし、よくある「壮絶な過去を背負った犯人に、名探偵が上から目線で説教」のような座りの悪さを感じる。
最後は憑き物が落ちて目覚めるが、その後の猪王山たちのリアクションも見たかった。











