h.t
表向きは成功して見える家庭ほど、教育や見栄、近所付き合いのプレッシャーでぎりぎりに張りつめていて、
少し触れただけで崩れそうな危うさが、読んでいて本当に息苦しいです。 
誰の言い分もそれなりに理解できてしまうからこそ、「この人だけが悪い」と言い切れないまま、
夜の観覧車のように同じ場所をぐるぐる回ってしまう家族の姿が、怖くて、でも目を離せませんでした。
読み終えたあと、自分の家族や隣の家の窓の灯りも、少し違って見えてしまうような一冊でした。
ゲスト
物語は単なる「ミステリー」ではなく、「家族とは何か」「社会のプレッシャーとは何か」「人はなぜ歪んでしまうのか」を考えさせるヒューマンドラマでもあり、読後に「あぁ、自分なら…」「この家族のどこが間違っていたのか…」と長く考えさせられました。読み終わった後、その暗さゆえに簡単には前を向けないけれど、それでも「人間ドラマのリアル」を受け止めたくなる､そんな稀有な作品だと思います。
ゲスト
『夜行観覧車』は、湊かなえによる心理サスペンス小説で、家族や近隣住民の複雑な人間関係と秘密が緻密に描かれています。表向きの平穏な日常の裏に潜む嫉妬や憎悪、嘘が次第に明らかになり、読者は先の読めない展開に引き込まれます。登場人物たちの心理描写が丁寧で、サスペンスとしての緊張感と人間ドラマの深みを同時に味わえる、湊かなえらしい力作でした。
