加害者の息子と被害者の娘が、互いに複雑な感情を抱えたまま手を組む流れは、きれいな和解物語ではなく、むしろ「それでも前に進むしかない人たち」の話として響きました。正義や復讐という言葉では整理しきれない感情が、ずっと作品全体にうっすら漂っている感じがします。
五代刑事もヒーローではなく、ギリギリのところで踏みとどまっている大人として描かれていて、その不完全さが妙にリアルでした。読み終えたあと、誰を責めれば気が済むのか分からないまま、ただ静かに疲れてしまうような、でも確かに「罪と罰」を見せられたと感じる一冊でした。
犯人の自供で事件が終わったかのように見せながら、その“真相”に対する疑念と、加害者側と被害者側という立場を超えて真実を追う人々の苦悩が、物語に強い人間ドラマ性と深いリアリティを与えており、読む者として胸が締め付けられました。 
また、登場人物たちの感情や葛藤、家族の事情、贖罪と赦し“罪と罰”を問うテーマが静かに、しかし強く胸に響き、単なる謎解き以上の余韻が長く残る作品だと感じました。











