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壁に囲まれた静かな街と、現実の世界を行き来する物語を通して、「心に壁を築く」とはどういうことかをじっくり考えさせられました。静謐で少し冷たい世界なのに、登場人物たちの孤独や痛みがじわじわとにじんできます。
現実から逃げ込むために作ったはずの街が、逆に自分を閉じ込める牢のようにも見えて、その構造がとても怖くもあり、美しくもありました。時間や記憶、喪失と再生について、答えの出ない問いを抱えたまま、長く余韻が残る一冊でした。
読み終えたあと、自分の中にも知らない街と壁があるのではないかと、ふと立ち止まってしまうような読書体験でした。
















