ジャンプの出張読み切りで興味を持ち購入。
タイトルは地獄のような極楽か極楽のような地獄の意か、言い得て妙。
江戸時代。
大罪人と処刑人のコンビが極楽浄土と噂される遠洋の離島に上陸、各自が持てる異能を駆使し、奇怪な化け物や罪人同士の酸鼻を極めた殺し合いを繰り広げる。
裏切り、駆け引き、騙し合い。
謀略渦巻く謎の孤島で、がらんの画眉丸と佐切は生き残れるか……
人体損壊などグロテスクな描写も多いが、絵が綺麗なので残虐美とも言える独特の魅力を引き出している。
主人公は人の心を持たない最強の忍、故にがらんどうをもじって「がらんの画眉丸」と称されるが、実は最愛の妻がいて……
という設定もイイ。
現時点では妻の名すら明らかになってないが、時折挿入される回想シーンのほのぼのした夫婦のやりとりに心和む。
画眉丸の相棒となる佐切は、女だてらに首斬り浅衛門一族の本家の娘として一流の剣技を収めているが、人を殺す行為への迷いと恐れを克服できず、葛藤と苦悩を抱えている。
妻への愛と帰郷の志を一途に貫く画眉丸と、いざとなれば彼を殺す責を負って同行する佐切の関係性の変化にも注目。
しかしなんといっても強キャラだと思われた登場人物が一話どころか1ページ、下手すると1コマでバタバタ死んでいく展開がすごい。
良い意味でも悪い意味でも命が軽く、出し惜しみせず予想を裏切られる。
さすがに画眉丸と佐切は大丈夫だろうと信じたいが(多分)山田風太郎原作かと紛うほど濃ゆい異能の罪人や処刑人を思わせぶりに登場させておいて、この使い捨て切り捨てっぷりの潔さには絶句する。
個人的に好きだったキャラが、生い立ちや背景、異能の詳細すら未公開のまま序盤で退場してしまったのは残念だが、のちに蘇生するなど救済措置はあるのだろうか……
進撃の巨人さながら奇怪な畸形の神々が闊歩し、道教と仏教がちゃんぽんされた島の実態も謎を呼び続きが気になる。











