重苦しくて苦い顔になるようなテーマを、軽快に扱う伊坂幸太郎を私は好きだ。
そして私はねこちゃんのことが何よりも好き好き大好き!
人間至上主義もルッキズムも、結局のところ人間を苦しめていて「ザマァ見さらせ」である。
でもあまりにも実直なこの3人のことは好きだよ
伊坂作品は、2週目でも「私知ってますコイツ!」などと思えるので、かなり楽しい。
大学入学を控えた春の夜、青年はモデルガンを片手に本屋の裏口に立っていた!?
ページを開いてすぐ突拍子もない場面から始まるこの物語は、あどけなさの残る青年・椎名の語る「現在」と、琴美という女性の語る「二年前」が並行して紡がれていきます。
悪魔めいた隣人・河崎に、隣の隣に住む外国人に広辞苑をプレゼントするためだと書店強盗に誘われた椎名の困惑。
恋人・ドルジとともに、偶然出会ってしまったペット殺しに付け狙われる琴美の恐怖と憤怒。
そして交互に語られる何の接点もない二つの時間軸をつなぐ、河崎のミステリアスな存在感。
それぞれをとりまく出来事や感情が丁寧に描写され、どんどんストーリーに引き込まれてしまうことでしょう。
書店強盗など企てた河崎の真意とは一体?
二年前に何が起きたのか?
椎名と同じように戸惑いながら物語を追っていくうちに、いつしか思いがけない真実にたどり着くことになるのです。
ぜひネタバレなしに読んでいただきたい本作。
緻密に張り巡らされた伏線に気付いたとき、思わず始めから読み返したくなるはずです。
作中で「神様の声」と評されるボブ・ディランを聴きながら、どうぞ彼らの物語の結末を見届けてください。
2007年に公開された濱田岳と瑛太(現・永山瑛太)出演の実写映画もオススメですよ!