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この本は近代俳句の巨匠水原秋櫻子の魅力を深く理解できる優れた俳句鑑賞書でした。橋本栄治氏の丁寧な解説により、秋櫻子の代表句100句それぞれの背景や技法、込められた思いが詳細に読み解かれており、俳句の奥深さを実感できます。特に「馬醉木」を主宰した秋櫻子の自然観や美意識が、具体的な句を通して浮き彫りになる構成が秀逸でした。医師でもあった秋櫻子の生涯と作品の関連性も興味深く、人生の各時期における心境の変化が俳句に反映されている様子がよく分かります。俳句初心者にも理解しやすい解説でありながら、専門的な視点も含まれており、幅広い読者層に対応している点が良いです。俳句という短詩型文学の可能性と、一人の俳人の芸術的軌跡を同時に学べる貴重な一冊だと思います。