弁護士の城戸は、かつての離婚で依頼を受けた女性から新たな相談を受ける。
程なく再婚して先立たれた再婚相手が身元を偽っていたのではないか。亡夫の身元調査に関わることになった城戸は自身の生い立ちを思い、他人と戸籍を交換してまで別人になって生きようとする心情について考えるようになる。
自分の戸籍を捨てて別人として生きたいと考えるさまざまな事情。納得できるものもあれば、そんなことで、と思うものがあったり、実際に死亡した男性の心情は推測でしか描かれないので、納得できるようなできないような結末。
愛したはずの夫は、まったくの別人であったーー。
「マチネの終わりに」の平野啓一郎による、傑作長編。
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。
ところがある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に、「大祐」が全くの別人だという衝撃の事実がもたらされる……。
愛にとって過去とは何か? 幼少期に深い傷を負っても、人は愛にたどりつけるのか?
「ある男」を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
第70回読売文学賞受賞作。キノベス!2019第2位。
映画『ある男』(2022年公開)は、第46回日本アカデミー賞で最多の8部門受賞!
最優秀作品賞
最優秀監督賞(石川慶)
最優秀主演男優賞(妻夫木聡)
最優秀助演男優賞(窪田正孝)
最優秀助演女優賞(安藤サクラ)
最優秀脚本賞・録音賞・編集賞など。
弁護士の城戸は、かつての離婚で依頼を受けた女性から新たな相談を受ける。
程なく再婚して先立たれた再婚相手が身元を偽っていたのではないか。亡夫の身元調査に関わることになった城戸は自身の生い立ちを思い、他人と戸籍を交換してまで別人になって生きようとする心情について考えるようになる。
自分の戸籍を捨てて別人として生きたいと考えるさまざまな事情。納得できるものもあれば、そんなことで、と思うものがあったり、実際に死亡した男性の心情は推測でしか描かれないので、納得できるようなできないような結末。