この作品は日本の伝統的な怪談の雰囲気を現代に蘇らせた秀逸な怪奇小説集でした。川奈まり子氏の繊細で美しい文体が、恐怖の中にも幻想的な美しさを醸し出しており、読んでいて背筋が寒くなると同時に文学的な満足感も得られます。「隠里」という設定が巧妙で、現実と異界の境界が曖昧になる不気味さが印象的でした。一つ一つの話が短編でありながら深い余韻を残し、古典的な怪談の持つ「語り継がれる恐怖」の本質を現代的に再構築している点が見事です。ホラーとしての恐怖だけでなく、日本の風土や民俗的な背景も感じられ、文化的な奥行きの深さに感心しました。上質な恐怖と美しい文章を両立させた、大人の読者にこそ味わってほしい怪談文学の傑作だと思います。
次々と襲い来る不可思議と恐怖
濃密怪談集!
静岡の深山にある廃村では、恐ろしい異界が口を開けて佇むーー
「第二十五話 京丸」より
恐るべき取材の数を誇る怪談作家・川奈まり子が綴る108話の濃厚濃密な怪談奇譚集。
・飼い猫を巡る不可思議な思い出話「夢まくらの猫」
・林間学校のレクリエーションで肝試しを始めたら…「本当になった怖い話」
・自死を選んだ父とその後「父の心残り」
・昭和30年あたりに拝み屋をしていたという祖母の逸話の連作「拝み屋チヅ子」
・毎日昼寝の時に誰かが訪ねてくる夢を見るのだが…「百鬼夜行に盗まれた」
・再婚を機に引っ越しをした家、奇妙なことが起こり出し…「狂宅」
・八王子の心霊スポット巡りをしていた最中、迫ってきた物音は…「真夜中の錫杖」
ーーなど圧倒的筆致で怪異が迫る!
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