大阪のテレビ局を舞台にした連作短編集です。華やかな業界の裏側で、デキる人もそうでない人も、皆がそれぞれの悩みを抱えながら生きている様子がリアルに描かれています。
登場人物たちは、それぞれに複雑な事情を抱えています。不倫で飛ばされ、戻ってきた40代のアナウンサー。娘と2年間冷戦状態が続く50代の報道デスク。絶対に振り向いてもらえない相手とルームシェアしている20代のタイムキーパー。やる気も向上心も全くない30代の下請けAD。
特に印象的だったのは、片思いの切なさと歪みを表現したこの一文です。
「由朗が結花を好きじゃないというだけで、その事実ひとつで結花を打ちのめしているのだから、同じだけ自分も由朗を痛めつけたくなる。」
こういう、どうしようもないけれど理解できてしまう、複雑で歪んだ感情がよく分かります。
夢と現実が交錯するテレビ局という空間で、不器用に生きる人々の姿が描かれた、共感を呼ぶ一冊でした。

















