地方医療の現状とその重要性について深く考えさせられました。人口減少が進む中で、地域医療を支えるために何が求められるかという視点が印象的でした。花房雄治さんの実際の経験を基に、医療従事者としての使命感や、地方における医療体制の課題をリアルに描写しており、医療の未来に向けた思考を促されました
都市部との医療格差解消のためにーー
20年にわたり、地域医療に携わり続けてきた医師の取り組みとは?
人口減少と高齢化に歯止めがかからない我が国では、医療ニーズが増加の一途をたどる中、それに応えるための医療従事者確保が喫緊の課題となっています。
しかし過疎化が進行している地方では、看護師や医師が集まりにくく、また診療科の縮小や病院の統廃合も進んでおり都市部との医療格差が更に広がっていくと予想されています。
多くの地方と同様に過疎化が進む静岡県下田市でクリニックを営んでいる著者は、医師偏在に加え治療設備の不足や高度医療へのアクセスの困難さなど、医療資源が不足し、かつ整備されていないことが都市部と地方の医療格差拡大の大きな要因になっていると述べています。
臓血管外科手術では日本トップクラスの実績を持つ国立循環器病研究センターなどでキャリアを重ねてきた著者は、2004年に縁あって下田市の透析クリニックに赴任してきました。赴任当初は、老朽化した設備や十分な教育を受けていないスタッフなど、それまで勤務してきた都市部の大病院と差に愕然とし、「こんな環境でまともな治療ができるのか……」と悲惨な気持ちなったといいます。しかし、この地域で暮らす人たちの健康を守る為に一念発起し、医療スタッフの育成や他機関・行政との連携強化など、「医師」の枠を超えたさまざまな取り組みを通して地域医療の質向上に力を注いできました。
本書では、独自の育成プログラムや資格取得支援などによる医療従事者の地域定着、行政を巻き込んでの医療ネットワーク構築、ローカルメディアを利用した健康情報発信など、著者が下田市で20年にわたり実践してきた医療格差解消への取り組みを具体的な事例とともに詳しく紹介しています。
過疎化が進む地方で日々患者と向き合っている医療従事者だけでなく、そこで暮らす人たちにとってもこれからの地方医療のあり方を考えさせてくれる一冊です。
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