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この作品は京極夏彦氏独特の博識と緻密な論理構成が光る妖怪推理小説として、シリーズの魅力を存分に味わえる一冊でした。古書店「京極堂」を舞台にした日常の謎解きでありながら、妖怪や民俗学の深い知識が織り込まれた独特な世界観が印象的です。特に「雨」にまつわる怪異現象を題材にした各話が、現実的な推理と幻想的な要素を巧妙に組み合わせており、読者を不思議な世界に引き込みます。京極堂の博学ぶりと鋭い洞察力による謎解きが圧巻で、一見超自然的に見える現象の合理的な解釈に納得させられました。日本の伝統的な妖怪観と現代のミステリー要素が見事に融合しており、推理小説としても民俗学的な読み物としても楽しめる構成が秀逸です。京極ワールドの奥深さを堪能できる、ファンには堪らない作品だと思います。