京都の町医者・雄町哲郎を主人公にした物語です。彼は大学病院で将来を嘱望された医師でしたが、妹の死をきっかけに地域医療の現場へと移り、終末期の患者たちと向き合うようになります。
この作品を読んで、私は「人が幸せに生きるとはどういうことか」を深く考えさせられました。病気が治らない人は不幸なのか。死を目前にした人に、医師は何ができるのか。雄町先生は、治すことよりも「寄り添うこと」を大切にし、患者一人ひとりの人生に真摯に向き合います。
印象的だったのは、雄町先生が哲学者スピノザの考えを大切にしていることです。スピノザは「人間は自然の一部であり、すべての出来事には理由がある」と考えました。雄町先生もまた、病や死を「不幸」と決めつけず、その人がその人らしく生きられるように支える姿勢を貫いています。
また、作中には京都の風景や和菓子がたくさん登場し、読んでいて心が和みました。重いテーマを扱いながらも、登場人物たちの穏やかな会話や日常の描写が、読者の心を優しく包み込んでくれます。
この本を通して、私は「人の幸せは、病気の有無や寿命の長さではなく、自分らしく生きられるかどうかにある」と感じました。医療や哲学に興味がある人だけでなく、「人とどう向き合うか」を考えたいすべての人に読んでほしい一冊です。
人の死に方は人の生き方。死に方1つで幸せだ不幸だと人生全部を決めつけられる中で、患者の尊厳も医療の発展も考える医者の生き方の苦労は如何程か。私が考えたとてお医者さんの手伝いになりはしない。それは間違いだけど、今はただ私の生き方を考えよう。











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