駐車場の片隅で産まれた一匹の黒猫。兄弟と違って、毛足が長く、まるでモップみたい。臆病な性格から、いつも行動に遅れ気味で、母猫のオッパイにもありつけない。そんなある日、突然に母猫を失い、兄弟はバラバラに……天涯孤独となった黒猫は、必死に闘い、食べ物を探し、必死に生き抜こうとしていた。腹を空かせて彷徨っていたとき、独り暮らしのばあちゃんが住む家に迷い込んだ。そのばあちゃんは、夫を失い、生きる希望を失いかけていたけれど、庭先に訪れた野良猫に、嫌いな弁当のおかずをくれたのだ。人間に対して不信感しかなかった野良猫にとって、生きるすべを得るとともに、はじめて「ヒトの温かさ」をしることに……。でもそれは、ばあちゃんにとっても「かけがえのない生きる希望」となっていく。いつまでも続くと思われた幸せな日々だったが──。
ゲスト
『ごはん、まだですか？ ばあちゃんと黒猫の事情』（杉作）は、黒猫と高齢のばあちゃんの日常をほのぼのと描いた心温まる絵本・漫画です。猫の愛らしい仕草や食いしん坊ぶりが、ばあちゃんとのやり取りを通してユーモラスに表現され、読者の心を和ませます。杉作の柔らかいタッチのイラストが、日常の小さな幸せや温かさを丁寧に伝え、猫好きはもちろん幅広い読者に楽しめる一冊です。
