前作「贄姫と獣の王」で大ファンになった友藤結先生の最新作です。
宣伝を見て、すぐに本屋さんに向かいました。
代々龍神に仕える聖巫女(シアリズ)であるアリスと、異端者の子と呼ばれるサビの出逢いから物語は始まります。
この世界には人々に憑りつき凶悪なものに変化させる「穢れ」と呼ばれる存在がいます。
素直で純粋ながらも外の世界をまともに知らないまま育ったアリスが、
苦労しながらも自分らしく生きるサビに惹かれたのは必然のように感じました。
アリスが殺されたことで彼女の体に宿ったのは、伝説の巫女であるシアリズ本人です。
笑顔が可愛いアリスとは似ても似つかないサバサバで格好良いシアリズが、自身の守護者になったサビを犬扱いする姿は必見です。
しかし、シアリズだからこそ見てきた沢山の悲劇を想像すると、なんだか切なくなりました。
過ごした時間は短くても、アリスを理解し大切に思うサビに胸がキュンとしてしまいます。
穢れの元凶となる男も登場しますが、良くも悪くも人間の面倒くさいところを煮詰めたような性格です。
執念深いその姿は質の悪いストーカーじみていますが、格好良くもあります。
まだ始まったばかりのサビとシアリズが旅する世界は美しくも残酷なものですが、2人が報われて欲しいと願わずにはいられません。
目が離せない展開を一緒に垣間見てみませんか?