伊藤内閣で外務大臣となった陸奥宗光の、半生を描いている。後半の人生を描く前に葉室麟先生は逝かれて「未完」である。
物語は、外務大臣になるまでの浮き沈みの激しい人生と、鹿鳴館の華と呼ばれた妻の亮子との二人三脚の生涯が描かれている。明治のころの社交界の様子や政治家とのやりとりも面白い。大変ではあったろうけど、凡庸なわれら読者の人生に比べれば、うらやましい。だが激務のため五十代半ばで逝去する。
特別収録の「乙女がゆく」は超短編である。
乙女とは、可愛らしい女性のことではなく、巨漢であった坂本龍馬の姉の「おとめ」のこと。この物語の主人公であり、その豪快な行動力に魅了されるだろう。この人なくして坂本龍馬は育たなかったのである。











